「葵衣様には、あの方がいらっしゃるでしょう?」 あの方?……春日部さんのこと? でもやっぱりあたしは 絢斗のことが───… 「絢斗!あたしはっ…」 「もう…わたくしを……解放して下さい」 ……えっ…? 苦しみに満ちた声で、途切れ途切れに呟いた絢斗。 足元を見つめるその瞳には光がなくて、それ以上問い詰めることが出来ないくらいだった。 あたしや…あたしの家が……絢斗を縛りつけていたの? 解放して欲しいって 意味が分からないよ……?