幼なじみの執事



「ですが、すぐという訳じゃありません。葵衣様が大学に合格されたその時に…」




「なんで…?」




「元々、家庭教師として旦那様に雇って頂いて執事としてもいろいろ学べたので、葵衣様が合格されればわたくしはもうよいかと……」





あんなに諦めようとした感情がよみがえって、目の前にいる絢斗が消えてしまう淋しさが爆発した。




「嫌だよ…執事なんて辞めてくれていいけど、出てくことないじゃない!」




興奮状態になったあたしに対して、絢斗は冷静なままだった。




「自立したいんです。これ以上、お世話になるわけにいかないですから」




「出てかないで……淋しいよ」




絢斗があの家から居なくなったら、もう幼なじみって繋がりすらなくなってしまうから。