「それじゃ、おやすみ」
「おやすみなさい」
車から降りると、軽く手を挙げた春日部さんは車を走らせた。
その車が見えなくなったのを確認すると、あたしは家じゃなく今来た道を歩いて戻った。
重い足取りで向かった先は、近所の広い公園。
ゆっくり足を踏み入れると、誰もいる様子はなかった。
外灯に照らされたベンチに腰かけると、バッグからケータイを取り出す。
静かな夜の中に、ピッピッっと機械音だけが響いた。
耳に当てると、呼び出すためのコールが鳴っている。
1回……2回……3『もしもし』
声を聞いただけで、胸が熱くなる……
