「あたし、葵衣ちゃんはもう知ってると思ったから……あとは絢斗に聞いてくれる?」
そう言い残して千嘉さんは席へと戻っていった。
絢斗……嘘よね?
頭の中が整理出来ずに、さっきから胸の音がうるさい。
千嘉さんの言ってることは、信用出来ない
本人から聞くまでは……
「葵衣ちゃん、どうした?」
席に戻ってきてから上の空のあたしに、春日部さんは心配そうに眉をひそめて話しかけてきた。
「ゴメン、なんかちょっと…」
「疲れてるのかな?何か少しだけ顔色悪いし、今日はもう帰ろうか」
「うん…」
とにかく知りたい。
真実を早く……
春日部さんといるのに、今のあたしの中は絢斗でいっぱいだった。
