「彼を待たせちゃうんで…それじゃ、また」 軽く会釈して、あたしが立ち去ろうとしたときだった。 「早く絢斗を返してね」 えっ?!今、何て……? あたしはすぐに振り向き、千嘉さんに尋ねた。 「どういう……意味ですか?」 「絢斗から聞いてないの?」 含みを持たせた笑みを浮かべる千嘉さん。 「何のこと…?」 「絢斗が葵衣ちゃんのとこから、出てくってこと」 絢斗が…出ていく? すぐにその意味が理解できずに、呆然としてしまう。