眩しい光に恭子は目を開いた。
いつの間にか寝ていたらしく、すっかり陽は登っていた。
ガバッと起きると隣に寝ていた優斗はいなくなり、変わりに子供達が抱きついて眠っている。

時計を見るなり恭子は子供達に声をかけた。
「勇貴!萌!起きなさい!保育園行く時間よ!」
恭子は慌てて着替え、まだ眠そうに目をこすっている子供達をあやしながら、階段を下りた。
台所に行くとお義母さんがいた。
「あら、おはよう。恭子さん。今日は仕事?」
「おはようございます…。仕事です。なので、子供達お願いします~」
恭子はバタバタと慌ただしく準備をする。
バシャバシャと顔を洗い、ゴシゴシと拭き、寝癖のついた髪の毛を櫛でとかした。
「じゃ、お願いします!」
台所にいるお義母さんに声をかけると、子供達はお義母さんお手製の朝食を食べながら手を振る。
「ママ、行ってらっしゃい」
「恭子さん気をつけてね」
「は~い」
子供達に手を振り返しながら、恭子は玄関を出た。



車を10分程走らせると、職場が見えてきた。
小さい建物だが、その駐車場には何台か車が停まっている。
門には「野田医院」と書いてある。
恭子はここの看護師をしている。
10数人の入院患者と近所の人達は外来にくる、町のお医者さんという病院だ。
恭子は子供達の事を考え、夜勤のないパートで勤めている。