図書室には、私と武田くん。あとは学年の違う男子生徒ふたりと、図書の先生しかいなかった。 彼は本棚を物色している途中で、私はその背中へゆっくりと近付いていく。 ミステリーが好きなのか、その手のコーナーを行ったり来たりしていた。 「武田くん」 声をかけると、彼はゆっくりと振り返り、驚いたように目を丸くした。