「そういうわけなんで、俺は誰とも付き合う気ないから。ごめんね、木下さん」 ひらひらと、手を振って武田くんは去っていった。 初めて見る自転車を漕ぐ後ろ姿。 先程の発言がなければ、写メを撮りたいほどにカッコいい。 おちつけ、美和。おちつくんだ。 私は自分に言い聞かせる。 武田くんは、何故いきなりあんなことを言ったのか。 家に着くまでは、私が思い描いたような人物だった。