重ねて、シルキス。
「リズがいれば、リズに頼む仕事だ」
「リズ姉がいなくても、俺ひとりでやってみせるっ」
キーヤの口から言わせて退路を断つ。
このキーヤが、シルキスのところにやってきたのはつい先日。
詳しい事情は知らないが、
キーヤは、リズや妹のネーイと何かあって職場を離れたらしい。
キーヤの雰囲気から察するに、
その何かというのはシルキスのせいらしいが、
本人が何も語らないので、シルキスには見当もつかない。
知るとまたややこしい事になりそうなので、知らないままにしておく。
「それで、これが封の中身だ」
魔王さまは、そんな空気を読まずに封書とは別に便箋をキーヤに見せる。
それなりに高級そうな紙の上に、
魔王さまの丸ちび字が並ぶ。


