「おおー」
パチパチパチ。

魔王さまを起こさないように、控えめに拍手する支援者達。

魔王さまの寝姿を見て、自分らはいい仕事をしたとそれぞれに自負する。

シルキスとは違った方向で魔王さまを甘やかす困ったさん達だ。

「シルキスさま、これを……」

黒の頭巾を目深に被った魔王さまとあまり背が変わらない少女が、

寝てしまった魔王さまの為に、小声でシルキスに毛布を渡しに来た。

「ありがとう、へナ」

シルキスが笑顔で受けとると、へナは頭巾の下で頬をかるく染める。

「できたら、この集まりが終るまで魔王さまの面倒をみてくれると助かる」

へナは頭巾をあげ、ガラス色の瞳を見せて了承の意を示した。

寝ている魔王さまの隣にまわり、肩を貸すようにして座る。

シルキスは、魔王さまと一緒にヘナにも毛布をかけてやった。

ヘナは恥ずかしそうに首をすくめ、頭巾の影で顔が見えなくなる。