「あのね、アイオネ」 全てをアイオネの身体にゆだねる魔王さま。 「もし私が本当に……、」 梳いてもらったばかりの前髪の下、 瞳にアイオネだけを写し、 アイオネだけに聞かせる声で、 「本当に……、ぷっ、うはははははははっ、だめだめ、またここだっ」 言う途中、思いきり笑い出した。 「魔王さま、この体勢で馬鹿笑いすると転びますよ」 「転ばないように抱っこして」 「はい」 アイオネは、疲れた顔で魔王さまを抱きとめる。