「私がこんなふうになるのは、アイオネだけだよ」 「うっ」 アイオネは固まる。 固まっているくせに、手だけは動く。 こう……、 魔王さまを抱きしめそうな感じで。 懸命にその手を引き止めつつ、アイオネ。 「わ、私が魔王さまを甘やかし過ぎということでしょうか?」 「ううん、私がアイオネに甘え過ぎなんだと思う」 魔王さまは、アイオネの胸元から見上げる。