「アイオネの言う意味で気にかけた人間はいない。だから、安心してアイオネ」 「なにを安心するのです?」 「なにをかなあ?」 身体を傾ける魔王さま。 アイオネの胸にぽすっと頭をのせる。 「魔王さま、ふざけるとまた怒りますよ」 「怒ってもいいから、今はこうさせて」 そう言われると、アイオネは逆らえない。 「あの、魔王さま」 「なあに?」 「私がいない間、寂しかったですか?」 「なんでだろうね……」 魔王さまは、再び目を閉じる。 そして、小さな吐息。