「ところで、話は変わるが」
と、金の魔王さま。
いつの間にかシルキスに組み付いて、抱っこさせていた。
「このハシゴ、おまえ達だけで上げられるのか?」
「頑張れば、たぶん……」
含んで答えるシルキスに、
「余裕です」
自信を持って言い切るアイオネ。
「アイオネはこれまで一人で何でもやってくれたからね。シルキスと二人になれば、もっと何でもできるよ。って、あああ、今度は埋まる、埋まるううっ」
黒の魔王さまが、生存の危機に陥りながら太鼓判を押した。
シルキスは、金の魔王さまを降ろそうとしながら言う。
「まあ、上がらなかったら、塔の隣に一から見張り台を作るだけですけどね」
「シルキス、お前はたまに大雑把で大胆だな」
金の魔王さまは、降ろされないぞと抵抗しつつ、偉いぞとシルキスを褒めた。


