魔王さま100分の2


「負けたらどうするつもりだったのですか?」

「安心しろ、その時は賭けなど反古にして、ここを逃げ出すつもりだった」

「え?それはずるーいっ!」

「ふっふっふっ、壁の外に出てしまえば、そっちは追ってこれないだろう」

金の魔王さま。
金の髪をなびかせて悪のポーズ。

シルキスの手が、その頭にぽこっと置かれる。
逃げられないようにして。

「それで、勝っちゃったときはどうするのです?アイオネをもらって、誰が何をするつもりです?」

「ん?」

訊かれて、金の魔王さまが小首を傾げる。

頭に置かれたシルキスの手の重みを感じながら、黒の魔王さまの背後に迫るアイオネを見て。

「そう言われれば、使い道がないな」
「でしょうね」

それから金の魔王さま、シルキスの手を自分から両手で捕まえて。

「シルキス、お前にも使わせないぞっ。使ったら怒るぞ。使おうと思っただけで怒るぞ」

勝手な想像で、シルキスにむかってプンプンと怒る。