「なるほど」
想像どおりの回答にシルキスは相づちをうった。
「あーあ、引き分けになっちゃたから、賞品はなしだねぇ?」
「うむ、そうなるか」
残念そうに言う魔王さま達。
「賞品?」
シルキスが首を傾けて訊ねると、黒の魔王さまは、あっさりと答えた。
「アイオネとシルキスの貞操。勝ったほうの総取り」
ぶはっ!!
立て掛けた樹を挟んでシルキスの隣。
アイオネが口から凄い勢いで、何かを噴出した。
「な、なにを賭けてるのですかっ!!」
「だから、アイオネとシルキスの」
「それは聞きました」
「うん、言ったよね」
「だから、ひとを勝手に賞品にしないでくださいという意味ですっ!」
「……魔王さま」
シルキスも、自分の金の魔王さまを叱りの目で見下ろす。
「い、言い出したのはあっちの私だぞ。私はちょっと挑発に乗ったに過ぎん」


