魔王さま100分の2


「なるほど」

想像どおりの回答にシルキスは相づちをうった。

「あーあ、引き分けになっちゃたから、賞品はなしだねぇ?」

「うむ、そうなるか」

残念そうに言う魔王さま達。

「賞品?」

シルキスが首を傾けて訊ねると、黒の魔王さまは、あっさりと答えた。

「アイオネとシルキスの貞操。勝ったほうの総取り」

ぶはっ!!

立て掛けた樹を挟んでシルキスの隣。

アイオネが口から凄い勢いで、何かを噴出した。

「な、なにを賭けてるのですかっ!!」
「だから、アイオネとシルキスの」

「それは聞きました」
「うん、言ったよね」

「だから、ひとを勝手に賞品にしないでくださいという意味ですっ!」

「……魔王さま」

シルキスも、自分の金の魔王さまを叱りの目で見下ろす。

「い、言い出したのはあっちの私だぞ。私はちょっと挑発に乗ったに過ぎん」