その隙に勇者組は、横木の打ち付け完了。
出来上がった新しいハシゴを塔の上に運ぶ段階に移る。
二人がかりで横木の付いた丸樹を塔まで引っぱるシルキスとアイオネ。
塔の近くまで運ぶと、息を合わせて樹の先を持ち上げ、塔に立て掛けた。
なるべくそっと置いたつもりだが、塔の石壁とハシゴの幹がぶつかり擦りあう音は、人力の作業とは思えない響きになって領地に広がる。
土遊びでしのぎを削っていた魔王さま達も、その音で勇者達のところに駆けよってきた。
「すごい、すごい、アイオネ。もうここまで出来たの?」
「私が少し目を離した間にこれだけ進めるとは、やるではないか、シルキス」
魔王さま達が遊びに熱中してくれていたおかげです。
とは、言わずにシルキス。
「山崩しは、もうよろしいのですか?白熱した勝負のようでしたけど」
「200戦ほどしてな、ちょうど100勝100敗になったところだ」
「引き分けになちゃったねー」
「200戦ですか?すごいですね」
そう長いとは言えない時間。
魔王さま達は、どんなペースで山を崩しあっていたのか?
夢中になっていたのはもちろん、ずいぶん荒っぽいゲームをしていたのが想像できる。
「最初の1回で棒が倒れちゃう時も多かったしね」
「相手に余裕を持った次手を与えるなど、魔王の尊厳が許さん」


