魔王さま達は、周囲を見回す。
「あった」
金の魔王さまのお尻に、小枝の先っぽがくっついていた。
さっきシルキスを突くのに使っていた枝の一部だろう。
そのお尻を指差し、黒の魔王さまが大きな声で訊く。
「これでいい?」
「はい」
少々離れていてもよく通るシルキスの声。
よく見える勇者の目。
「それを山のてっぺんに立ててから、順番に素手で山の削りっこをしていてください。枝を倒したほうが負けです」
「そんなのが面白いか?」
金の魔王さまは、疑いの目でシルキスを見た。
黒の魔王さまが、その隙に金の魔王さまから枝をとり、山に立てる。
「えいっ」
続けて、大胆に両手で山を半分ほど削りとる。
傾く、枝。
「わわわっ」
黒の魔王さまが削った側に斜めに落ちかけ、倒れきる直前で止まった。
ふう~。
黒の魔王さまは、真剣な顔で息をつく。
そして得意顔になって、金の魔王さまに。
「次はそっちの番だよ」


