魔王さま100分の2


魔王さま達は、周囲を見回す。

「あった」

金の魔王さまのお尻に、小枝の先っぽがくっついていた。

さっきシルキスを突くのに使っていた枝の一部だろう。

そのお尻を指差し、黒の魔王さまが大きな声で訊く。

「これでいい?」
「はい」

少々離れていてもよく通るシルキスの声。
よく見える勇者の目。

「それを山のてっぺんに立ててから、順番に素手で山の削りっこをしていてください。枝を倒したほうが負けです」

「そんなのが面白いか?」

金の魔王さまは、疑いの目でシルキスを見た。

黒の魔王さまが、その隙に金の魔王さまから枝をとり、山に立てる。

「えいっ」

続けて、大胆に両手で山を半分ほど削りとる。

傾く、枝。

「わわわっ」

黒の魔王さまが削った側に斜めに落ちかけ、倒れきる直前で止まった。

ふう~。

黒の魔王さまは、真剣な顔で息をつく。
そして得意顔になって、金の魔王さまに。

「次はそっちの番だよ」