そして、
シルキスの拳の中には太く長い釘。
横木を叩くと同時に切っ先が埋まり、
シルキスが釘を残して手を引くと、
アイオネが鉈の背を使って一撃。
釘一本が一瞬で打ち終わる。
「おおっ」
「上手、上手」
「危ないですから、顔を近づけないでください」
感心する魔王さま達をシルキスもまた遠ざけ、さらにまた素手で釘立て。
それをまたアイオネが一回で打ち込み、シルキスがまた釘立て。
ひとつの横木に5本ほど打つと、ふたり一緒に、幹にそって一歩平行移動。
シルキスが墨で線を引いて、アイオネが溝を掘る。
「おおっ」
「上手、上手」
「なんだが」
「飽きたね」
作業が順調に進み過ぎて、魔王さま達は早々に退屈し始めた。


