魔王さま100分の2


「そうだ。船長のガナクによると、『海には、金がひれを生やして泳いでいますからな。わはは』だそうだ」

「そうですか、今回の財源はそこですか」

「言っておくが、本物に金が魚のように海を泳いでいるわけじゃないぞ」

「はは、魔王さまは、最初にそう思ってガナクに訊ねたのですね?」

「よけいな推察はいらんっ」

金の魔王さまは、シルキスの膝を蹴った。

実際の話、海を往き来する船を持つ魔族は、金まわりがいい。

外海の全域および内海の辺境主要ルートが、ほぼ魔族の支配下にあるためだ。

「ふふふ、海には、きゅうきゅうのような屈強の魔族がうようよいるからな」

金の魔王さまが、得意満面で話す。

「魔王さま、皿がいっぱいになったらシートに戻って、別の空き皿と交換してきてください」

「よし、すぐに戻ってくるぞ」
「あ、シートで食べていてもいいですよ」

「戻ってくるぞ!」

金の魔王さまは、シートに走る。

で、海の支配圏の話だが。