「そうだ。船長のガナクによると、『海には、金がひれを生やして泳いでいますからな。わはは』だそうだ」
「そうですか、今回の財源はそこですか」
「言っておくが、本物に金が魚のように海を泳いでいるわけじゃないぞ」
「はは、魔王さまは、最初にそう思ってガナクに訊ねたのですね?」
「よけいな推察はいらんっ」
金の魔王さまは、シルキスの膝を蹴った。
実際の話、海を往き来する船を持つ魔族は、金まわりがいい。
外海の全域および内海の辺境主要ルートが、ほぼ魔族の支配下にあるためだ。
「ふふふ、海には、きゅうきゅうのような屈強の魔族がうようよいるからな」
金の魔王さまが、得意満面で話す。
「魔王さま、皿がいっぱいになったらシートに戻って、別の空き皿と交換してきてください」
「よし、すぐに戻ってくるぞ」
「あ、シートで食べていてもいいですよ」
「戻ってくるぞ!」
金の魔王さまは、シートに走る。
で、海の支配圏の話だが。


