魔王さま100分の2


時間をかけるほど備えは万全になるが、引き換えに、戦場はここに近くなる。

現場から離れてしまったシルキスには、心の中で応援するしかないが、

仮に現場にいたとしても、元をただせば開拓民のシルキスに何ができるというものでもない。

できることと言えば、力仕事。
そして、魔王さまの世話。

つまり……。

「……僕の仕事はここでも出来るということか」

「ん?仕事がどうした、シルキス?」

「いえ、魔王さまの傍にいることが僕の一番大事な役割だなと」

「そんなことが、今さら分かったのか」

金の魔王さまは、空の皿の縁でシルキスを叩いて減点する。

「ここに弾が飛んでこないことを本当に祈るわ」

アイオネは、天をあおぐ。

「全部たべたよー」

となりで、黒の魔王さまが陽気に小皿を空にした。