時間をかけるほど備えは万全になるが、引き換えに、戦場はここに近くなる。
現場から離れてしまったシルキスには、心の中で応援するしかないが、
仮に現場にいたとしても、元をただせば開拓民のシルキスに何ができるというものでもない。
できることと言えば、力仕事。
そして、魔王さまの世話。
つまり……。
「……僕の仕事はここでも出来るということか」
「ん?仕事がどうした、シルキス?」
「いえ、魔王さまの傍にいることが僕の一番大事な役割だなと」
「そんなことが、今さら分かったのか」
金の魔王さまは、空の皿の縁でシルキスを叩いて減点する。
「ここに弾が飛んでこないことを本当に祈るわ」
アイオネは、天をあおぐ。
「全部たべたよー」
となりで、黒の魔王さまが陽気に小皿を空にした。


