黒の瞳で燃える、黒の炎。
「欲しい者を手にするのに躊躇はしないよ」
アイオネをとらえ、魔族の王の冷徹さで包んだ。
「魔王さま……」
アイオネは、牙を剥くと予告する魔王さまの正面に立つ。
レンガ入りの木箱を片腕で自分の肩に乗せた。
「忘れてるとは思いませんが、私は勇者ですよ」
向けられた鉄棒を軽く足蹴り、自由になった手で魔王さまの額を鷲づかみ。
こめかみをギリギリ絞って、魔王さまの炎を一手で払い消す。
「脅しは通用しません」
「ぎにゃー、ごめんなさーい。ちょっと悪くなってみたかっただけー、いたーい、離してー」


