魔王さま100分の2


黒の瞳で燃える、黒の炎。

「欲しい者を手にするのに躊躇はしないよ」

アイオネをとらえ、魔族の王の冷徹さで包んだ。

「魔王さま……」

アイオネは、牙を剥くと予告する魔王さまの正面に立つ。

レンガ入りの木箱を片腕で自分の肩に乗せた。

「忘れてるとは思いませんが、私は勇者ですよ」

向けられた鉄棒を軽く足蹴り、自由になった手で魔王さまの額を鷲づかみ。

こめかみをギリギリ絞って、魔王さまの炎を一手で払い消す。

「脅しは通用しません」

「ぎにゃー、ごめんなさーい。ちょっと悪くなってみたかっただけー、いたーい、離してー」