「そのときは、二人ともここにはいませんよ」
「いなくても知らせるし、知らせなくても、あっちから知って迎えにくるもん」
「そうかもしれませんね」
アイオネは、自分の魔王さまの考えに少し賛同する。
あの二人なら、そう動くかもしれない。
「それでね」
上げられた鉄棒はここで下りた。
土に溝をつくって、アイオネに向く。
「その後すぐに、アイオネを取り返しに行くよ」
「王国にですか?」
「その時、アイオネが王国にいたならね」
「どうやって?」
「すごい大軍を使って」
「いきなり武力侵攻ですか」
「私のアイオネを盗ったのでしょう。それは宣戦したのと同じこと」
「想ってくれるのは嬉しいですが……」
「あのね、アイオネ。私も魔王なんだよ」


