それをどうにか影で隠れる範囲で収めているのは、シルキスの存在。
だが、そもそも金の魔王さまを外に連れ出したのはシルキスであって……。
アイオネは、真面目な顔で、真剣な声を出す。
「魔王さま、私がここから離れていなくなったらどうします?」
「王国が、私の言うことを聞かずにアイオネを盗ったら?」
「目先では、それが一番具体的ですね」
「怒る」
「怒るだけで、ここにいてくれますか?」
魔王さまにとっても、それが安全だ。
「うーん」
魔王さまは、鉄棒を掲げた。
「その時は、あっちの私とシルキスに頼んでここから出してもらう」


