「絶対、だめ」
「だめと言われましても……」
「私、王国に手紙を書く。アイオネは私のものだから、盗ったら本気で怒るって」
「私は、もともと王国の貴族で兵士ですが」
「それでも、私のなの」
「はあ~」
アイオネは、また息を吐いた。
勇者の心臓のせいか、
今現在たいした不安はないが、
今こうして、外からきた魔王さまの為に働いているのは、非常を越えた異常事態だ。
さらに、その魔王さまの背後には確実に魔王軍がついている。
さらにさらに、その魔王軍を支えているのは大陸各地にいる魔族達。
金の魔王さまの様子や話し振りからすると、
人間と友好関係にあり、深い結びつきをもっているイアリミア在住の魔族達ですら、無条件で魔王さまの為に動く。


