魔王さま100分の2


魔王領に缶詰にされていることを理由にして、王国にまったく連絡をとっていないアイオネ。

本来ならあらゆる手段を模索して、逃亡した魔王と、その魔王に加担する勇者、その勇者が持つ魔王殺し、生きた幽霊船の襲来を王国に報告すべきである。

まして、魔王殺しの実物を手に入れたら。

「動かざるを得ないでしょうね。いろいろと」

少なくとも、独断での魔王殺しの破壊や廃棄は許されない。

「ね」

黒の魔王さまは、全てを先回りしましたとばかりに相づちを打つ。

「そこまで気にかけているなら、私を王国に返してください」

「絶対にいや」

黒の魔王さまは、鉄棒を引きずっていつもの返事をした。