「アイオネも手の皮が剥けた?」
「私ですか?私は剥けたことはありませんね」
「えええ、言ってることが違う」
「体質です。剣技のことで勇者の私を基準にしないでください」
「じゃあ、シスキスは?」
「……さあ、かなり振り込んでいるとは思いますが」
シルキスは、実戦と実戦以上に激しい鍛錬を積んでいる。
そうでないと、自分との戦力差が説明できない。
出戻ってきた理由も、向こうの魔王さまによれば、シルキスが本物の幽霊船と命がけの実戦を繰り広げた結果だ。
「そうよね。シルキスのあの黒い剣は普通じゃないものね。練習も相当してるよね」
「魔王さま、あの黒剣のこと……」
「うん、見てなんとなく分かったよ。私を殺すための剣だなって」


