「火かき棒ですね」
「火かき棒?」
魔王さまが掴んだのは、鉄の棒。
持ち手は熱に強い皮が巻かれており、先は耳かき状にくびれている。
「焚き火や暖炉の中に突っ込んで、火の通りを良くしたり、灰をかき出したりするものです」
「へー」
「武器ではありませんので振り回さないように」
「ぶー」
しようとしたところを止められて、魔王さまは唇を鳴らした。
「これもいる?」
「持っていって、無駄になることはないでしょう」
「持ってくね」
魔王さまは、アイオネやシルキスがしていたのを真似、鉄棒を腰溜めに構えて装備した。


