魔王さま100分の2


考えているうちに資材の山にまで着いてしまった。

後ろ歩きを続けていた魔王さまがぶつかりそうになったので、自分よりずっと細い腰に手をまわして守る。

「あぶない、あぶない、ありがとう」

黒の魔王さまは、助けてもらって笑顔。

今後、無駄にアイオネに後ろ歩きをしてみせて、助けを請うようになるのは確実だ。

はしごの件は、仕方がないのでシルキスにも知恵を絞らせると決め、

魔王さまの後ろ歩きについては、そのとき考えることにする。

アイオネは、レンガの山からなるべく小さく角のまるいものを探し、ひとつ手渡す。

「魔王さまは、これを」
「はーい」

ふたつめを持つ気はないらしい。
面倒がなくてよいことだ。

と、思ったら別のものに興味を持った。

「アイオネ、これは何?」