考えているうちに資材の山にまで着いてしまった。
後ろ歩きを続けていた魔王さまがぶつかりそうになったので、自分よりずっと細い腰に手をまわして守る。
「あぶない、あぶない、ありがとう」
黒の魔王さまは、助けてもらって笑顔。
今後、無駄にアイオネに後ろ歩きをしてみせて、助けを請うようになるのは確実だ。
はしごの件は、仕方がないのでシルキスにも知恵を絞らせると決め、
魔王さまの後ろ歩きについては、そのとき考えることにする。
アイオネは、レンガの山からなるべく小さく角のまるいものを探し、ひとつ手渡す。
「魔王さまは、これを」
「はーい」
ふたつめを持つ気はないらしい。
面倒がなくてよいことだ。
と、思ったら別のものに興味を持った。
「アイオネ、これは何?」


