魔王さま100分の2


もっとも、

「あんな顔で穴掘りを始めた男の頭に、私への気配りなんか残っているのかしら?」

アイオネは、つぶやく。

「気にされてないと不愉快?」

アイオネの行く先に小走りに回りこんで来るのは、黒の魔王さま。

「こちらは荷運びですよ。手伝ってくれるのですか?」

アイオネが訊くと、黒の魔王さまは、2回、両足で跳んでアイオネと向きを合わせる。

「手伝う上に応援もしてあげる」

「なら、応援できるように、なるべく軽くて怪我をしないものを運んでくださいね」

「うん、そのつもり」

黒の魔王さまは、こぶしを握ってポーズをつくる。

背はアイオネよりも高いのに、手はアイオネよりもちいさい。