魔王さま100分の2



塔の外に出れば、夏の日の午後。

海の香りと眩しく照りつける直射光が、二日間眠り続けたせいで少しずれていたシルキスの時間感覚を一気に正常化する。

「あー、たしかに今から準備すればいい時間になりますね」

勇者の身体は、一度回復すれば、病み上がりでも夏の暑さなどには負けない。

健康的に仁王立ち。

「何もない領地だからな、ぐずぐずしているとすぐに夜だぞ」

同じく仁王立ちで、やる気に満ちている金の魔王さまとセットで開拓魂を燃やす。

「それで、コンテナは?」
「門の外」

アイオネが事務的なテンションでふたりの間を後ろから通り抜ける。