魔王さま100分の2


「むおっ」

棒には魔王さまがつけた歯型。

ちまっこい牙でつけた、ちまっこいへこみが並んでいる。

「卑怯だぞ、シルキス」
「夕食の話ですよ」

棒を取り返そうとする魔王さまの注意を、シルキスはそらす。

「むむむ、後で返してもらうぞ」
「返してもらってどうするつもりです」

「で、夕食の件ですが」

アイオネは、語気を強めた。

自分の分の食べ終えたアイスの棒をふって、争いに介入する。

「シルキスが目覚めたら、祝いの席をつくるという話でしたがどうされますか?」

「そうだった、祝うぞ」

金の魔王さま関心が完全に切り替わる。

「そういう話だったか?」

シルキスは、アイオネに問う。

「ええ、あなたの魔王さまが、あなたが寝ている間中、熱心に」