魔王さま100分の2


「初めて食べるものですね」

「そうだろう、アイスクリームというらしいぞ」

「あいすくりーむ?」

名前も初めて耳にする語感。

この世界には、ときおり由来不明の独特な語感を持つ名で呼ばれるものが出てくる。

一説では、
旧魔王さまが関係しているらしいが、

今の魔王さまに訊いても答えは得られないので、スルーする。

「僕が寝ている間に、魔王さまが自分でこれを見つけたのですか?」

確認するところは、そこ。

自分の護衛なしで、都市部に入ったのなら叱らないといけない。

魔王さまは軽く、アイスくりームごと顔を振った。

「違う、献上されたお勧め物のひとつだ」
「そうですか、安心しました」

黒の魔王さまは、その間にアイオネにもアイスクリームを咥えさせる。

「あーん」
「……はむ」

最後に自分。

「はむっ」