「いきなり言い出すということは、持ってきたのですね」
「ああ、保冷庫のどれかに入っている」
金の魔王さまは、倉庫に詰まれた家財を視線で指す。
わりと手近にある一角。
密閉式の金属扉がついた、身長大の白く塗られた食料庫が3つ並んでいた。
ぶいーん。
近づくと、細かな振動音が聞こえるそれらが魔王さまが言った保冷庫。
おなじみの魔力石を動力とし、
背面で特殊な液体を、気体にしたり液体に戻したり循環させることによって、内部の熱を放出しているとか、なんとか。
保冷庫を使えば、夏でも生物が長持ち。
高級品を使えば、凍らせることもできるという便利な品。
それが3つ。
シルキスの機動力重視の方針には真っ向から逆らうものなので、これも寝ているうちに買っちゃたのだろう。


