「それは、ますます迷惑をかけた」
「別に。でもこれだけ言っておくわ」
アイオネは、階段を降りながらシルキスを睨めつける。
「あんたが寝ていた布団、あれ、私の」
「……それはすまなかった。本当に」
「最初は、魔王さまが自分のベッドに寝かすって言ったのよ。そんなこと許せるわけないから、仮宿から私のを運んできたの」
「あー、こっちの予算で買い換えるよ」
「そこまで気は細かくないわ。でも、覚えといてよね」
アイオネは、ぷいっと前をむく。
雰囲気からして、自分のシーツを男に汚されたのは初めてらしい。
口に出してはとても確かめられないので、
シーツだけでも新しいのを渡そう、シルキスは心の買い物帳につけておく。


