「なければ、食事に使う箸でも」
「うむ、箸使いならまかせろ」
「ええ、任せます」
食事に関することなら、魔王さまの技能は一級だ。
どんな食器の使用法も、教えれば一食でマスターする。
「で、箸をどこに使うのだ?」
「えっと、この辺りです」
シルキスは、腹やら胸やら、ちょっと教えづらいが背中やらを指す。
「どれどれ」
魔王さまは、シルキスのシャツを腹からめくって素肌を出させた。
予告なく無造作にめくったので、シャツから散った血が、せっかくさっき我慢した金色の髪を汚す。
「あっ」
「なんだ?」
「いえ、ただちょっと残念な気分になりました」
「気分だけなら問題ないな」
「ええ、そうですね。後で手を洗ってからにすれば解決します」


