魔王さま100分の2


「なければ、食事に使う箸でも」
「うむ、箸使いならまかせろ」

「ええ、任せます」

食事に関することなら、魔王さまの技能は一級だ。

どんな食器の使用法も、教えれば一食でマスターする。

「で、箸をどこに使うのだ?」
「えっと、この辺りです」

シルキスは、腹やら胸やら、ちょっと教えづらいが背中やらを指す。

「どれどれ」

魔王さまは、シルキスのシャツを腹からめくって素肌を出させた。

予告なく無造作にめくったので、シャツから散った血が、せっかくさっき我慢した金色の髪を汚す。

「あっ」
「なんだ?」

「いえ、ただちょっと残念な気分になりました」

「気分だけなら問題ないな」

「ええ、そうですね。後で手を洗ってからにすれば解決します」