シルキスは思わず頭をなでたくなったが、金の髪を血まみれにしてしまうので自重する。
自分の目で見える範囲だと、腕からの出血が一番酷い。
へナの回復範囲にいるのでかなり楽にはなったが、傷口が消える様子はない。
特に破片が突き刺さったままの傷は、『これでどうやって治れというのか』とシルキスに訴えているかのようだ。
落ち着いたらヘナの治療に頼るとして、その前に破片を抜く必要がありそうだ。
さっき、魔王さまに抜いてもらう約束をしたが、地獄を見そうだ。
こういうことは忘れない魔王さまなので、なんとか気づかれないように治療をすます方法がないだろうか?
シルキスは考える。
「そんなに考えても私が抜くからな」
笑顔のまま、シルキスの思考を読む魔王さま。


