「あと、破片の先が飛び出ているので怪我をするかもしれません」
「船に戻ったら、私が全部抜いてやる」
「優しくしてくださいね」
「凄く痛くしてやるから覚悟しておけ」
抱っこを諦める魔王さま。
それから、ヘナのことを思い出して守る。
「ヘナのことは本当に怒るなよ、本当にだぞ」
「はい、どうせ魔王さまが先に行くと言い出したのでしょう?」
「む、そうだったら悪いか」
「……決めたのは魔王さまではなく、私で」
ヘナが言いかけると、魔王さまは幽霊船に気が戻る。
「それと、どうして幽霊船は沈まないのだ?すっごい大波だったぞ」
両手を伸ばし背伸びまでして、全身で大波のスケールを表現。
忙しい。


