魔王さま100分の2


「津波では沈められないか……」
「なにっ、そっちは勝ってないのか」

魔王さまも、シルキスの真似をして幽霊船を探す。

波の高さで見えないが、それは自分の背のせいだと思い、その場でパンチなしのぴょんぴょんジャンプ。

でも見えない。

シルキスに抱っこを要求しようとするが、今、自分からしてくれと命令するのは悔しいので口では言わない。

言わずに、じっとりと上目使いで気配を送って、シルキスの方から抱かせようとする。

シルキスは、魔王さまの考えを寸分違わず読み取って言った。

「魔王さま、僕にも見えているのは雨雲だけです」

「そうなのか」

「で、今、抱き上げると魔王さまも血だらけになりますよ」

「むうっ」