「津波では沈められないか……」
「なにっ、そっちは勝ってないのか」
魔王さまも、シルキスの真似をして幽霊船を探す。
波の高さで見えないが、それは自分の背のせいだと思い、その場でパンチなしのぴょんぴょんジャンプ。
でも見えない。
シルキスに抱っこを要求しようとするが、今、自分からしてくれと命令するのは悔しいので口では言わない。
言わずに、じっとりと上目使いで気配を送って、シルキスの方から抱かせようとする。
シルキスは、魔王さまの考えを寸分違わず読み取って言った。
「魔王さま、僕にも見えているのは雨雲だけです」
「そうなのか」
「で、今、抱き上げると魔王さまも血だらけになりますよ」
「むうっ」


