戻される手と輪にもシルキスの血がつく。
「ヘナは、全員で逃げ切る方法を考えて、やれるタイミングで動いてくれたのだろう?それを確実にこなそう」
シルキスは、いつもの笑顔をヘナに見せてやった。
おかげで隙ができて、魔王さまのジャンプパンチが一発入る。
ぺちん。
「あたっ」
「どうだ、私の勝ちだぞ」
魔王さまは、最初の目的を半分忘れて勝利宣言。
忘れていないシルキスは、サーペントの後方、そろそろ津波の直撃を受けているはずの幽霊船の姿を探す。
まだ高く上がった波で船体は見えない。
が、幽霊船を包む嵐の雨雲は上空に健在。
消える気配もない。


