魔王さま100分の2


「むううっ」

普段なら、だんだん疲れてくる魔王さま。

漏れ出すヘナの回復魔法は、こういう無駄な運動にも働く。

ぴょんっ、ぴょんっ、ぴょんっ。
頑張る魔王さま。

一方、シルキスの傷は、なかなか塞がらない。

シルキスは平然としているが、負っている傷は、おまけ回復では追いつかないほど深いということだ。

「……シルキスさま、お話の前に治療を」

ヘナは、魔王さまと違う角度から手を差しだした。

輝く手のひら。
作り始められる天使の輪。

シルキスは、その手と輪をそっと押し戻した。

「僕は、しばらく大丈夫。ヘナは、退避完了までここの防壁を守ることを優先。いいね」