シルキスは、急いで頭の中で海図を構成。
周囲とあの幽霊船の向こうに、人も魔族もいないことを確認する。
魔王さまは、シルキスと同じ山脈を仰ぎ、尖った歯をふたつ外に見せて笑んだ。
「撃てっ!!」
「きゅーっ!!!!」
号令によって振り落ちる尾。
山脈がひとつの方向に動き、津波となって幽霊船を襲う。
「勝ったな」
魔王さまは、えっへんポーズ。
「勝たなくてもいいですから、退きます。僚艦のところまで急速後退」
シルキスは、津波に背を向けて指示を出す。
ヘナが頷くと、それは正統な指揮命令となり、以後、シルキスの言葉でサーペントは動くこととなる。


