魔王さま100分の2


シルキスは、急いで頭の中で海図を構成。

周囲とあの幽霊船の向こうに、人も魔族もいないことを確認する。

魔王さまは、シルキスと同じ山脈を仰ぎ、尖った歯をふたつ外に見せて笑んだ。

「撃てっ!!」
「きゅーっ!!!!」

号令によって振り落ちる尾。

山脈がひとつの方向に動き、津波となって幽霊船を襲う。

「勝ったな」

魔王さまは、えっへんポーズ。

「勝たなくてもいいですから、退きます。僚艦のところまで急速後退」

シルキスは、津波に背を向けて指示を出す。

ヘナが頷くと、それは正統な指揮命令となり、以後、シルキスの言葉でサーペントは動くこととなる。