尾と胴からこぼれ落ちる滝が宙でとまった。
サーペントから円状に逃げていこうとする大波が引き戻されていく。
海に住む大海獣が持つ、純粋に海を支配するための魔力。
常時は自身の大きすぎる身体を守るためと、自身が無用に海を荒らさないように、無意識で必要なだけ使われている力。
それが、魔王さまの命令で意志を持ち、攻撃の為の力として使われる。
『全力で』
……魔王さまの望むままに。
サーペントは、ありったけの力で海を振り下ろさんとする尾の先に集め、海の山脈を築く。
「きゅーーーっ」
サーペントの準備完了の泣き声。
山脈は、サーペントが持ち上げた尾の高さを遥か越える。


