魔王さま100分の2


引き始めた津波の上から、再び姿を現し始める幽霊船。

雨雲にまで突き立った帆から順に見えてくる。

「あの船の攻撃なら心配無用だ」

魔王さまの拗ねた声。

シルキスの視界に入るところまで移動しなおすと、サーペントに命じた。

「もう一発だ。今度は直接あいつを狙え」
「きゅー!!」

サーペントが長く巨大な尾を持ち上げる。
ただ持ち上げるだけで、発生する大波と滝。

「全力でいいぞ、あいつをひっくり返すぐらいのやつをやってやれ」

「きゅっ、きゅーー!!」

サーペントは、尾とはっきりした境目のない胴まで持ちあげた。

そして、人間や人間サイズの魔族ではありえない、強大な魔力がサーペントの全身に満ちていく。