引き始めた津波の上から、再び姿を現し始める幽霊船。
雨雲にまで突き立った帆から順に見えてくる。
「あの船の攻撃なら心配無用だ」
魔王さまの拗ねた声。
シルキスの視界に入るところまで移動しなおすと、サーペントに命じた。
「もう一発だ。今度は直接あいつを狙え」
「きゅー!!」
サーペントが長く巨大な尾を持ち上げる。
ただ持ち上げるだけで、発生する大波と滝。
「全力でいいぞ、あいつをひっくり返すぐらいのやつをやってやれ」
「きゅっ、きゅーー!!」
サーペントは、尾とはっきりした境目のない胴まで持ちあげた。
そして、人間や人間サイズの魔族ではありえない、強大な魔力がサーペントの全身に満ちていく。


