「そうか、分かってると思うが、魔王さまのところには真っ直ぐ戻るなよっ」
「あたり前だ、まずやつの射程をぬける。合流はそれからだ」
シルキスは、キーヤの背に両腕で抱きついたまま首を捻り、後方の幽霊船を見た。
幽霊船は砲を撃つだけでなく、船体を前進させて追ってきていた。
速い。
山のような巨体で荒波をぶち破りながら迫ってくる。
加えて、あたり一面にぶちまかれる砲弾と着水時に爆ぜて生まれる無数の水柱。
シルキスでなければ、その光景だけでパニックになるかもしれない。
「あの波を追い越すっ」
キーヤが叫ぶ。
叫ぶということは、また天馬の軌道が変わるから振り落とされるなということ。


