「それは、砲弾や銃弾を自分の身で受けたことがないからできる考えです」
「むっ」
魔王さまが言葉をつまらせる。
一年前。
魔王さまのために、全身に銃弾を埋めて戦ったシルキス。
魔王さまの頭に、銃弾と聞けば真っ先に浮かぶ血まみれの姿。
魔王さまは勢いをなくし、シルキスは、それが分かっていて言う。
「海戦ショーの幻から推察して、あの幽霊船の内部にも多数の砲が隠れている可能性が大です」
「そ、そうかもな……」
「サーペントの身体は巨大で砲撃されても沈む事はそうそうないでしょう。が、それと無事で済むということとは別です」


