幽霊船前部の甲板を細部まで見回しながら一周。
そこから繋がっている、後部の甲板も一周。
どちらもあるのは、もの言わぬ明かりのみ。
キーヤは天馬に跨りなおし、大小のマストにそって飛んでみる。
マストの帆はどれもぼろぼろで、支柱部分も表面は腐りただれていたが、人間の都市でみた幻の幽霊船と違い、折れても曲がってもいなかった。
すべて垂直に立ち、天を突く。
最も高いメインマストの頂点まで昇ると、先は雨雲の中にまで届いていた。
甲板のときと同じく、マストの周囲は風雨からは守られているが、少しでも離れると大嵐。
雷光が、間断なく振りまかれている。
乗っているのが普通の馬であれば、あっというま逃げ出すか、すくんで動かなくなっただろう。


