魔王さま100分の2


いずれにしても油断はしない。
空回りならそれでよし。

独り慎重に身構えるキーヤを笑うものは、ここにはいない。

仲間のうちにもいない。

キーヤは、明かりの後ろに見える船の外の嵐に目をむける。

この感じだと、幽霊船上の自分は外からは見えないだろう。

自分の非常時に備えて、いつでも強行突入する構えをつくっているに違いない。

成果を持って帰るために、仲間の安全を保つために、くだらない理由で倒れるわけにはいかない。

キーヤは、ゆっくりと手近な発光体に近づいた。

天馬は、後ろを歩調をあわせてついてくる。