魔王さま100分の2


「ここまでは、おとなしいものだな」

キーヤは、ゆっくりと天馬の足を甲板につけた。
これでも反応なし。

背負った銃を構え、キーヤ自身も幽霊船に降りて足をつける。

とたんに、船のあちこちでかがり火が点いた。

正確には、かがり火のような発光体。

ゆらゆらと炎のように揺れる明かりが、キーヤを遠巻きにして照らす。

「……」

キーヤは引金に指をあて、それらを見据える。

静かな睨み合い。

もっとも睨んでいるのはキーヤだけで、向こうは何を考えているかは分からない。

そもそも、何かを考えているかも疑問。

ただの明かりならキーヤだけの勝手な戦いだ。