「ここまでは、おとなしいものだな」
キーヤは、ゆっくりと天馬の足を甲板につけた。
これでも反応なし。
背負った銃を構え、キーヤ自身も幽霊船に降りて足をつける。
とたんに、船のあちこちでかがり火が点いた。
正確には、かがり火のような発光体。
ゆらゆらと炎のように揺れる明かりが、キーヤを遠巻きにして照らす。
「……」
キーヤは引金に指をあて、それらを見据える。
静かな睨み合い。
もっとも睨んでいるのはキーヤだけで、向こうは何を考えているかは分からない。
そもそも、何かを考えているかも疑問。
ただの明かりならキーヤだけの勝手な戦いだ。


