キーヤは、人魚の道を風と雨と波をぬって進む。 進むごとに、強くなる風。 太くなる雨。荒れる波。 人魚が指し示す前方、狂った波と波がぶつかり、互いを砕きあって一瞬の道が出来た。 「行って」 その道の先に見えた、幽霊船の巨体。 キーヤは全力で、高波の間を突き貫ける。 守りの風が崩れる波飛沫を押し返し、 普段は鳴かない天馬が声高くいななく。 そして、次の波。 高く横に連なり、波先を鎌のように曲げてキーヤを襲う。 「飛んでっ」 天馬が駆け上がる。