魔王さま100分の2


キーヤは、人魚の道を風と雨と波をぬって進む。

進むごとに、強くなる風。
太くなる雨。荒れる波。

人魚が指し示す前方、狂った波と波がぶつかり、互いを砕きあって一瞬の道が出来た。

「行って」

その道の先に見えた、幽霊船の巨体。
キーヤは全力で、高波の間を突き貫ける。

守りの風が崩れる波飛沫を押し返し、
普段は鳴かない天馬が声高くいななく。

そして、次の波。
高く横に連なり、波先を鎌のように曲げてキーヤを襲う。

「飛んでっ」

天馬が駆け上がる。